Lingua furanca.

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ジャージャジャジャジャー
「電脳戦隊、リンフラレンジャー!」シャキーン
毎週日ようあさ7:30放送中

…。
リンフラレッドが言った。「なんつーかさー。ちょっと燃えるものたりなくね?この番組。」
リンフラグリーンは、タバコを吸いながら顔を上げた「またかよ、いつも番組終わったらうだうだ言いやがって本当に・・・。いいんだよ、おれ達は敵が来たらお約束を踏んで倒す。十分だろう?必殺技が面倒くさければバンクを使えってアレだけ言ってるのに。」
リンフラブラックはニヒルに笑って言った「まあ、かっこよければいいのですよ。わかりますか?今必要なのは物語性じゃなく、かっこうのよさです。」
リンフラピンクは化粧をしながら言った。「そして私が、パンチラすれば、男の子の視線は釘付けネ!ちょろいワ!」
リンフライエローはカレーを食べていた。
撮影後の現場は、いつもけだるさに包まれていた。

リンフラレッドは、悩んでいた。
おかしい。
俺達が「戦隊オーディション」に合格したとき、ものすごい興奮と熱意に包まれていたはずだった。
リンフラレッド「やったゼ!俺達はこれから、子供達のヒーローだ!わかるか?子供達の希望と勇気の象徴になるんだ!」
リンフラグリーン「へへ、照れくせえな。まあ、こういうのも悪くねえな!」
リンフラブラック「華麗に、美しく、そしてクールに決めましょう。正義は勝ち、悪は滅びるのです!」
リンフラピンク「えへへ、私が初恋の人になる少年もいるのかしラ。えへへ。」
リンフライエローはカレーを食べていた。

あの時の俺達の夢見ていたものは、確かに「ヒーロー」だった。そうだ、俺達は子供達のヒーローになるために、この「戦隊」の仕事についたはずだった。
それがなんだ?この体たらくは。
最強で子供達が燃えるはずの必殺技は、気が付けば爆薬からCGに変わってしまった。時には毎回同じシーンを流すことすらあるじゃないか。プロデューサーに問い詰めたら「どうせ大きなお友達しか見ていないし、必殺技のシーンはトイレに行くんだ、つうかニコニコで見るべ」だと?
だが確かに…奇をてらったこのシリーズはDVDの売れ行きこそいいが、グッズは売れ残る有様。ヒーローじゃなくて、俺達は、「ヒーローのふりをした道化」に成り下がっているんじゃないのか?
あの時照れ笑いをしていたリンフラグリーンは今やすっかり、酒とタバコと女におぼれるだらしない男になってしまった。いや!確かにこの戦隊を始めたときも遊び人だったが、それでもヤツは「やるときはやる」ヤツだったはずなんだ。
リンフラブラックは確かにナルシストだったが、それは自分の中に貫くものが確かにあったからだ。それが今や、テレビを見ている奥さんたちからキャーキャー言われて格好つけているだけの、中身のスカスカな男になってしまった。
リンフラピンクは少年達の希望に満ちたまなざしが好きでこのチームに入ったはずだった。そう、子供を愛していると言っていたはずだ。それがなんだ、パンツ見せたらそれでいいと思い始めやがった!パンツなんて…パンツなんて…!!!…まあ見えたほうがいいな。
そしてリンフライエローは、カレーが好きな男だった。

はは、なんだ?俺?
熱く正義に燃えて、子供達の…子供達の…あれ?

ヒーローってなんだよ。
俺のなりたかったもの…熱くたぎっていた物って、実際はなんだったんだよ。
ひょっとして、「ヒーローのふりをした道化」は…俺自身が生んでしまったのか?俺がヒーローを、ただの奇をてらった奇術師にしてしまったんじゃないか!?おおおおお!?

「待て、勘違いしていないか?」奥から、低い声が響いた。
「お前は…リンフライエロー?」レッドは涙をだらだらとこぼしながら振り向いた。
リンフライエローの手にはカレーのスプーンが握られていた。
「なあ、リンフラレッド。お前、ヒーローという言葉に、だまされているんじゃないのか。」リンフライエローは、カレーのスプーンをリンフラレッドに向けた。
「なんだと?カレーばっかり食いやがって。俺はヒーローだ!ヒーローは信念を持ち、常に見ている子供の気持ちを代弁しなきゃいけないだろう?なあ、そうだろう?そうだよな?!」リンフラレッドはよろよろとリンフライエローに近寄った。まるで、答えを求めるかのようだった。
「そうか、お前は、リンフラレッドじゃねえな。お前なんて、ごみ虫、いや、カビだ!」
「カビ!!!!!」リンフラレッドはよろめいた。
「そうだ、カビだ。カレーを一晩おくとついてしまうようなカビだ!ヒーローという名前の、幻想に寄生しないと生きていけない、発酵材料にもならないカビなんだ!」リンフライエロはーそのスプーンで、カレーをびちゃびちゃとレッドにぶつけた。
「俺は…俺はカビなのか…そうだな、ヒーローになることばかり考えて、結局自分じゃあ何もしてない、他の4人に文句を言って、偉そうにしているだけの役に立たない男なのかもしれない…子供の夢になんてなれるわけ…ないんだ…。」
リンフラレッドは、地面に拳をついた。嗚咽が漏れる。
しかし、リンフライエローはそんな彼に、カレーを差し出した。
「なあ、このカレーがわかるか?」
「ああ、いつもお前が食っているやつだな。」
「そうさ。このカレーは、カレーにするために出来たわけじゃない。スパイスが辛いのは、『カレー』になるためじゃあない。スパイスはスパイスなんだ。カレーはカレーなんだ。」
「なあ、お前が何を言いたいか俺はよくわからないんだが…。」
「お前は、信念といったな。その信念は、子供にあこがれられるためにあるものじゃあない。お前自身が、自分を必死に探して、何が正しいかを悩みぬいた末に見つけた、自分自身のことじゃあないのか。」
「スパイス…信念…そうか、俺は『格好いいから戦う』んじゃない。苦しむ様や信じて進む様子も含めて、全部俺なのか、俺自身なのか?」
「そうだ、お前はお前でいればいい。それを見失って偶像にしがみついた、型にはまったヒーローなんて価値はないだろう?自分の、泣いたり笑ったり苦しんだり戦ったりする様子を、ただ正直に見せることが一番大事なことだ。カレーの名前にこだわったカレーは、俺は食べたくない。」
リンフライエローは、そう言ってリンフラレッドにカレーをまた差し出した。
リンフラレッドは、それを食べた。
辛かった。
辛い。
辛いよ。

「うおおおお!分かった!よし、番組は組みなおしだ。俺の、お前らの生き様を見せてみろ!感情をぶつけろ!苦しめ、泣け、笑え!」

ジャージャジャジャジャー
「電脳戦隊、リンフラレンジャーR!」シャキーン!
毎週日ようあさ7:30放送中

泥臭く愚直な展開になったこの番組。
確かに斬新さは失われたが、まっすぐな叫びと個々の個性がイキイキと表れ、視聴率こそあがらなかったもののの、ファンの間からではその正直さが話題になった。
青臭い、だが「そこがいい」と。

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というわけで、私の中のヒーローとして、ただ泥臭く美しくありたいという「ブルーハーツ」を挙げておきます。
前置き長いね。

おしまい。
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