Lingua furanca.

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その国は闇に包まれていました。
夜です。夜がいつもそこにいました。
月もいました。月だけが国を照らしてくれていました。
いつも「ゴーンゴーン」という音で時間を教えてくれる時計塔もいました。だけど、時計塔は黙り込んだままでした。

この国はいつからか、太陽が昇らなくなりました。
なぜそんな事になったのか、誰にも分かりませんでしたが、その国に暮らす人達はいつか夜が明けると信じていました。
「明けない夜は無い」
いつかはいつものように、朝日が上り、夕日が沈む。そんな日に戻れると信じていました。

夜が来てから一週間が経ちました。

一週間も日が昇っていないと、人間は気が滅入るようです。
滅入った人達は国を出て行きました。

夜が来てから三ヶ月経ちました。
太陽が出なければ野菜は育ちません。
野菜が育たなければ、農夫達はそれをお金に換える事が出来ず、暮らしていけません。
農夫達が出て行きました。

夜が来てから数年経ちました。
若い人たちは誰もいませんでした。
残っていたのは、隣の国に行くほどお金も力もない老人達ばかりでした。

夜が来てから十年経ちました。

私はまるでそれが癖のように、時計塔を見上げました。時計塔はいつもと変わりません。
止まっています。この国と同じように止まっています。
私は思いました。
「時計塔を直してみよう」
昇りました。時計塔を昇りました。
歯車がありました。しかし歯車が上手く回っていません。
私は歯車に油を注してみました。ぐるぐる。まわり始めました。
するとーー
ゴーンゴーン……
鐘が鳴り始めました。
何年も聞いていない懐かしい音でした。
そしてーー太陽が昇り始めました。

私は気付きました。待っているだけじゃ駄目なのだと。動かなくては何も始まらないのだと。
私は旅に出ました。
私自身の時を動かすための旅です。
ーーゴーンゴーン。
止まらない鐘の音がずっと、ずっと鳴り響いていました。
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